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自分らしく生きている素敵な人を見つけてご紹介していきます

花屋の配送から始まったキャリア、CFOとして上場を経験し再度花の道へ!

#インタビュー #キャリア #フラワーアーティスト #花

 

自分らしく今を生きるvol.7 フラワーアーティストChikara

 

こんにちは。

『自分らしく今を生きる』では普通の会社員である僕が
心から「素敵な生き方をしている」と感じた人たちに出会い、
その生き方に至るまでにどんなことを考え、どんな行動をしてきたのか聞いたお話を
僕と同じく『普通の○○なあなた』にご紹介していきます。

今回お会いしたのは、Chikaraさん。
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 商品としてのお花を売るという考え方ではなく、
「お花のある暮らし」を提供したいという想いで
ECサイト”hanane”を運営されるChikaraさん。

もともとお花が好きだったわけでは全くない…!
お花の配送ドライバーからベンチャーの上場担当CFOに…!
異色のキャリアをお持ちのChikaraさんにお話を聞いてきました。

 

hananeサイト:hanane
chikaraのブログ:hananeのフラワーアーティストchikaraのブログです。 

『ネイル×花×コーヒー』のイベント案内
日時:9/5(火)19:00~21:00(仮)
場所:ブルーボトルコーヒー六本木店(仮)
*詳細決定次第hananeのSiteでご案内いたします。

 

 

「花のある暮らし」を広めたい

-今どんなことをされているんですか?
お花のある場所、生活を送られる方を増やしたいという想いで
”hanane”というWebサービスを2017年4月末にリリースしました。
僕はお花そのものを売りたいわけではなく、
お花を使って、相手の方や、自分自身に「気持ち」を贈るお手伝いをしたいと考えています。

同じ想いを持ってくださるフラワーアーティストの方に入っていただき、
一人ひとりのお客様に対して花のコンシェルジュとなり
orderに応じて丁寧にお花をお作りすることで、その方の生活を豊かにしたい
そんな想いを持ってやっています。

-普通のお花屋さんとはどう違うんですか?
モノではなくて、「贈る」や「飾る」といったその行為にスポットライトを当てているので、
例えば、注文時に、好きな色は聞きません。あとは、好きなお花も聞きません(笑)
その代わりに、贈る相手の方がどんな方なのか、どんな気持ちで贈るのか、
どんな気持ちにさせたいのか。という部分をヒアリングします。
ご注文ファームに情報を入れて頂いている時間が
「贈る相手の方の事を一番考えている時間にしてほしい」と思っているんです。

登録会員の方のオーダーにお応えしてお花をお作りするのがメインですが、
実はインターネットだけではなくて、全く別のジャンルとの掛け合わせで
リアルでイベントを実施することでお花に触れるきっかけを
提供していきたいと思っています。
また、これは現在準備中ですが、
協賛企業様とのコラボレーション事業を今後やっていく予定です。
普段はお花とは縁遠い暮らしをされている方にも、
お花に触れる、お花のある生活を送るきっかけをどんどん提供していきたいと思っています。

自分でお花を買って家に帰って生けるような暮らしをする人を増やしたいと思っていますが、
いきなりそれはハードルが高いので、今は誰かにお花を送るという体験のお手伝いをWebサービスとしてはメインにしています。
例えば、会員になっていただくと色々な記念日の前に
「お花を送りませんか」というメッセージが届き、
過去に利用履歴があれば「前回はこうだったから今回はこうしては」というような
ご提案をすることもできます。
将来的には、個別のフラワーアーティストを専属として美容師のように
自分のこと、自分の家のことをわかってくれている関係が築けるような、
そんなサービスにしていきたいです。

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-それは嬉しいですね、男性は花屋に行ってもオーダーの仕方がわからず戸惑う人がたくさんいますからね。なぜそんな想いを持つようになったんですか?
お花の業界というのは、花という物を売ろうと思っていると
どんどんニーズがなくなっていくだけだろうと思っています。
たとえば、おいしくてかわいくてプレゼントに最適なお菓子とかもたくさんありますよね?
モノとして見たら、食べれるものにはかなわないかもしれない。
ボクが食いしん坊なだけかもしれませんが(笑)。

そうではなく「お花をあげる」とか「お花をもらう」という行為が生活を豊かにするし、
その価値は今後きちんと伝えていけば必ず伝わると思っているんです。
それがお花のチカラ、お花の良さ、強さだと思うんですよね。

-お花って結構高いじゃないですか。お花にこだわった生活をしているっていうと何となくセレブな暮らしをイメージしてしまうんですが、仰っているのはそういう方がターゲットではないんですよね?
まさにそういう方にどんどん買っていってもらおうというのが、これまでのお花の業界だったんです。
そうではなくて、何かのきっかけがあれば1000〜2000円くらいのお花を買おうかなと思う人は増やせると思っているんです。
そこにお金をかけても良いかなと思ってもらえる人を増やしたいんです。
なので、最初はイベントや企業タイアップを通して
まずはお花に触れる機会を作っていきたいと思っています。

 

高校卒業、たまたま出会った配送ドライバーの仕事から花の世界にハマる

-そもそも、なぜお花の世界に入ろうと思ったんですか?
高校を卒業して1ヶ月くらいブラブラと遊んでいたんです。
でも、すぐにお金がなくなるじゃないですか。
お金がないと遊べないから、何かお金を稼がないといけないと思った時に、
自分には車の運転が好きという以外に何もなかったんですね。
それで、横浜駅の近くを歩いているときにたまたま見かけた
「花屋の配送ドライバー募集」の看板を見つけて、これならできると思って扉を叩いたんです。

-え、じゃあ何でも良かったということですか?
ええ、それが家具の会社なら今頃インテリアデザイナーになっているかもしれないですし(笑)、本当にたまたまなんです。

-入ってからずっと配送をやっていたんですか?
最初の11ヶ月はほんとに配達だけです。
横浜の事務所に出勤して、依頼されたものを乗せて市内に届けていく。
市場にお花を取りに行くというのを合間にやったり。

-飽きないんですか(笑)?
これが全然飽きなくて、凄い楽しかったんですよ(笑)。
ですが、そのお店の育成プランとしては、
この配達というのは花をやりたい人の下積み的な位置づけなんです。
僕はそこだけがやりたいという珍しい人種だったと思います(笑)。
なので、その次のキャリアステップとして実際に花を自分で扱っていくことになります。
その頃には、自分でも作ってみればと先輩に教えてもらったりもしていたので、
お花に触るのも楽しくなってきていた頃でした。
花言葉を覚えたり、説明したり、いわゆる普通にお店で接客をしていました。
実際にやってみると、とにかく作ることが楽しかったんですよね。

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バッグ一つで受け入れ先も決めずにドイツへ留学

-どのくらいそのお店で働かれていたんですか?
6年くらい働きました。
その後、このままずっとここで接客をし続けるのはつまらないかもと思うようになり、
どうしてもドイツに行きたくなったことがきっかけで、そこを辞めることになります。

-何でいきなりドイツなんですか?
その花屋にいた6年間のうち、4年間はドイツから帰国した方がやっている
お花のスクールに通っていたんです。
そこでのお花はいわゆるお花やさんの作り方にこだわらない
デザインでお花を作ることができて、すごく楽しかったんです。
その間にもコンテストで賞をいただいたりしたこともありましたが、
やっぱり行かないとと思い立ち、ドイツに行くことにしました。

-じゃあ、その先生に紹介してもらって留学みたいな感じだったんですか?
いや、特にその先生にお世話になることもなく・・・
なので、特に受け入れ先も決めずに、バッグ一つで乗り込みました。
今考えるとそれが良かったのかもしれませんが。

-すごい(笑)。アテもなく行って何をしていたんですか?
ほんとにアテがなかったので、とにかく街で花屋に行って
タダで良いから働かせてくれとお願いをするんですが、
いやタダにしてもドイツ語がそんなに喋れないんじゃ
どうしようもないと言われてしまいます。
まぁ当然ですよね、どう考えても邪魔なだけですから(笑)。
なので、まずは語学を学ぼうと決めて語学学校に入ります。
そこは色んな国から生徒が来ていて、医学を学びに来た優秀なやつもいれば、
僕みたいのもいる、そんなところでした。
授業よりも、毎週木曜に開催される飲み会が一番の学びの場でした。
色んな国の人がいて、語学だけでなくとても社会勉強になりました。

-その後もう一回花屋さんに行くんですよね?
たしか手紙を書いて持っていったと思います。
接客なんてさせてもらえないから、
裏方としてディスプレイ用の骨組みを作ったり、そんなことをしていましたね。
滞在期間が限られているからと言ってどんどん次のお店を紹介してもらって、
2ヶ月スパンくらいで4〜5箇所のお店を移動しました。
その活動をする中で、ドイツのお花の業界でとても有名な方のお店にたどり着き、
その方が凄く顔が広い方で色々な方を紹介してもらいました。

 

帰国のきっかけはある社長との出会い

-ドイツには全部でどのくらいの期間いらっしゃったんですか?
1年数ヶ月です。最後はただのヨーロッパ旅行をしていました(笑)。
ある時、銀座で化粧品のお店をOPENするという日本人に出会い、
その方に今こんなことをしていると話をしたら、
一緒に戻ってお店の内装を手伝ってくれないかとオファーをもらったんです。
帰るきっかけがなかったので、良い機会かなと思ってそのお話を受けることにしました。
その店内の1箇所に僕の作品を置く場所を作ってくれ、
お客様に対してお花のレッスンをやったりしていました。
その繋がりで、丸の内OLさん向けのレッスンをやったり、
設備メーカーのショールームでイベントをやったり色々していましたね。

 

フラワーアーティストからベンチャーのCFOへ、猛勉強の日々

-その後一度お花の世界を離れるんですよね?それはどうしてですか?
そういった活動をしていくうちに、花のことしかできない自分はマズイんじゃないかと危機感を抱き始めたんです。
単発でこのまま仕事をもらい続けても、
やれることが一向にスケールしないと感じ始めていました。

-その段階でそのことに気づけたのはどうしてなんですか?
単純にしんどかったんです。
やってもやっても儲からないという状態で、
このままじゃマズイと感じざるを得ない状況でした。
今思うともしかしたらちゃんとブランディングをしていけば道はあったのかもしれません。
でも、そのときの自分には思いつかなかった。

-それでどうしたんですか?
実は、花屋を辞めてドイツに行くまでに
お金を貯めるために人材派遣会社で働いていたんです。
その会社も銀座にあったので、先ほどの化粧品の会社でお花を飾る仕事をしている合間に
遊びに行っていました。
そこに、立ち上げたばかりのベンチャーの社長がプレゼンに来ていたんです。
人材派遣会社のノウハウを自分のところへ展開したいという相談に来ていました。
それを聞いた人材派遣会社の方の社長が「暇なやつがいる」と言って
差し出したのが僕だったんです(笑)。
じゃあ少しの期間なら、というつもりでアルバイトとしてお手伝いをスタートしましたが、
急成長している会社は本当に忙しく、さらには新卒社員まで入ってきてしまい、
僕がアルバイトじゃ申し訳ないという気持ちで、
「正社員にさせてください」と自分からお願いしました。
自分の中でも良い経験になるだろうと思い、
花のことはすっぱり辞めて働き出したんです。
まあ、正確にいうと花をやっている暇がなかっただけなんですけどね。

-そこでどんなことをしていたんですか?
最初は全国へ人材の登録者ネットワークを拡げ、システム作りのディレクションをし、
その後管理部門を見ることになり、上場を目指すことになります。
僕の経歴を見て色んな方に「お前が上場準備責任者なんて絶対無理だ」と言われ続けましたが、たくさんの方に助けられ、運良く上場を果たすことができました。

その後は経営企画を作り、買収したお菓子屋さんを担当したりしていました。
自分の中でも一つやりきったという気持ちもあったんでしょうが、
もうそろそろ辞めようと思い立ち、2ヶ月間空白の期間がありました。
何をしようか迷っている時に知り合いのヘッドハンターから連絡をもらい、
上場準備中の会社に入ることになります。

 

もう一度お花の道へ

-そこからもう一度お花をやろうと思い立ったのはどうしてですか?
心の中ではやはり「お花に携わる自分でいたい」という気持ちもありました。
4年前くらいになるんですが、お花好きな男性陣と出会いまして、システム開発ができる方々なのですが
当時から自分のやりたいことをお話ししていたんです。
当時から僕の考えていることに共感してくださっていて
「いつやるの?」とずっと言ってもらっていたんです。
その期間も、こんなふうなのにしよう、あんなふうなのにしようと
ずっと一緒に考えてくれていました。
結果、その方々にhananeのシステムまで作ってもらいました。

このメンバーに出会っていなければ、hananeは出来ませんでした。
本当に感謝しかないです。
システムもどうにかなってしまうし、サービスの開始が出来てしまう。
もうこれはやるしかないなということになって、今の事業を開始することになったんです。

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Chikaraさんの自分らしく生きるきっかけ

はじめからやりたいことが明確な人なんてほとんどいません。
Chikaraさんも、たまたま出会った「花」という世界にのめり込み、
突き詰めていったからこそ、今の課題意識に出会うことが出来たのだと思います。
Chikaraさんが自分らしく生きることができているのは、
「①偶然に出会う②とことんハマってみる③課題に出会う」を繰り返してきたからでした。

それを支えてくれたのが「とにかく飛び込む」という行動力、
そして行動するからこそ生まれてくる「想いの強さ」の二つ。
まさに「自分らしく今を生きる」お手本のような、
聞いていてワクワクするキャリアストーリーでした。

花のある生活を提供して、少しでも人生を豊かにするお手伝いをしていきたい
と語るChikaraさんの力強くも優しい感性が、多くの方の元に届くことを願います。


今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
いつかあなたの『自分らしく今を生きる』お話も、ぜひ聞かせてください。

 

かわだ